山形県縦断駅伝大会の選手時代の写真を見る畳職人田島

山形県縦断駅伝大会の選手時代の写真を見る畳職人田島

駅伝選手と伝統職人は同じだなと思うことがあります。
山形県縦断駅伝と、米沢の畳職人として思うことを書きます。

429日から3日間にわたって開催された山形県縦断駅伝大会

山形県のランナーにとって、この大会は特別です。

ただ速さを競うだけではない。

先輩から後輩へ。
地域から次の世代へ。

「襷(たすき)」と一緒に、想いが受け継がれていく大会です。

米沢チームを率いた監督へ

今回、米沢チームを率いた監督は

彼は、私が在籍していた
山形県立米沢工業高等学校
陸上部時代の後輩です。

監督としてチームをまとめ上げ、3日間走り切ったことに、まずは心から労いを送りたいと思います。

結果は11チーム中10位。

決して満足できる順位ではなかったかもしれません。

ですが近年、米沢チームは選手不足が続いています。

そんな中でチームをまとめ、最後まで襷をつないだこと自体、とても価値あることだと思っています。

選手の皆さんにも、大きな拍手を送りたいです。

私にとって、人生を変えた大会

私はこの大会に14回出場しました。

ありがたいことに、

  • 区間賞10
  • 総合優勝2

も経験させていただきました。

でも、正直に言えば――

私が本当に選手として成長できたのは、
「うまくいった時」ではありません。

むしろ、人生で一番情けなかった経験が、この大会にあります。

大学時代、2年連続で区間最下位だった

大学23年の頃。

私は2年連続で区間最下位を経験しました。

しかも、どちらも同じ展開でした。

前の選手たちが上位で襷を持ってきてくれた。

その良い流れを、私が止めてしまった。

そして、ごぼう抜きされた。

あの時の悔しさと情けなさは、今でも忘れられません。

「こんな走りは、絶対にもうしたくない。」

その気持ちが、自分を大きく変えました。

山形県縦断駅伝大会でタスキを受け取った写真

山形県縦断駅伝大会でタスキを受け取った写真

駅伝は「流れ」をつくる競技

駅伝から学んだことは、本当にたくさんあります。

特に感じたのは、

1.駅伝には「流れを作る選手」と「流れを変える選手」がいる

ただ速いだけでは足りない。

チームを勢いづける選手。
悪い流れを断ち切る選手。

その役割が、とても重要です。

2.調子良く走るだけでは意味がない

自分だけが満足する走りではなく、

  • チームに良い流れを渡すこと
  • 流れを止めないこと

それが駅伝の難しさであり、面白さでもあります。

3.襷には「気持ち」が宿る

駅伝は、本当に特殊な競技です。

下位で襷を渡す時には、

「絶対に抜いてくれ」

受け取る側は、

「絶対に抜いてやる」

という気持ちになる。

逆に上位で渡す時には、

「このまま1位を守ってくれ」

受け取った側は、

「絶対に1位でゴールする」

と思う。

その気持ちが、襷と一緒に渡っていく。

だから駅伝には、科学だけでは説明できないドラマが生まれるのだと思います。

人を強くするのは、苦しい経験かもしれない

駅伝は、選手を強くします。

でもそれ以上に、人間を強くする競技だと思っています。

苦しい時。
流れが悪い時。
期待に応えられなかった時。

そこからどう立ち上がるか。

それを何度も経験する。

だから駅伝経験者にはしつこいほどの粘り強さがあり、目標に向かった時の集中力は抜群だと私は信じています。

タスキを受け取った時に感じる思いがある

タスキを受け取った時に感じる思いがある

畳の仕事も、駅伝と似ている

私は今、父から受け継いだ畳店を守っています。

そして最近、よく思うのです。

畳の仕事も、駅伝に似ているなと。

先代がつないできた信用。
地域のお客様とのご縁。
積み重ねてきた技術。

それらを「襷」のように受け取って、次へつないでいく。

流れを止めてはいけない。

むしろ、もっと良い流れを作らなければいけない。

そんな気持ちで、毎日仕事をしています。

米沢の子どもたちへ

長距離走はオリンピック競技ですが、
駅伝は日本独自の素晴らしい文化です。

そして駅伝が強くなることは、
日本の長距離界全体を強くすることにもつながると思っています。

最近の米沢市では、若い世代の陸上離れを感じます。

特に、長距離走は国際的な個人競技としてオリンピックを目指せる競技です。

そして駅伝によって、団体競技として仲間と一緒に戦う喜びも味わえます。

個人で限界に挑みながら、襷を通して仲間の想いも背負って走れる。

これは長距離ランナーだけが味わえる、特別な特権なのかもしれません。

走ることで仲間が増え、
世代を超えたつながりや一体感も生まれる。

個人でも団体でも楽しめることが、長距離競技の大きな魅力です。

今回の駅伝大会をテレビやニュースで見て、

「走ってみたい」

そう思った米沢の子どもたちがいたなら、ぜひ挑戦してほしい。

米沢には、まだ再び強くなる力があると思っています。

最後に

大会開催前、ありがたいことに元選手として新聞社から取材を受けました。

もしよろしければ、そちらの記事もあわせてご覧ください。

そして高岡監督、選手の皆さん。

3日間、本当にお疲れさまでした。

襷をつなぐ姿から、今年もたくさんの力をもらいました。

私も畳職人として、
これからも良い流れを次の世代へつないでいきたいと思います。

新聞記事になった田島のインタビュー(山形新聞2026年4月22日朝刊)

山形新聞2026年4月22日朝刊