ようやく42.195kmのレースが始まった。
まずは西新宿高層ビル群の間を縫うように走る。
走り出しても、お祭り騒ぎのようなスタートの興奮が覚めやらない…
いや~楽しかった。あの雰囲気、あの光景一生忘れないよ!
着物姿のおねーさん、とてもステキだったなぁ…
そんな舞い上がった気持ちも束の間、緊張が走る。
密集したランナーたちの凄まじい戦いがすでに始まっていたのだ。
肘や肩が激しくぶつかり合う。
人と人の間に隙間ができれば、割り込みの争奪戦。
ボーっしてたら弾き飛ばされそうだ。
それだけではない。路面にはあちらこちらにカッパやらウエアが
散乱している。それに足が絡んで危うく転びそうになった。
相当な集中力と、アクシデントを俊敏に回避していく
トリッキーなランニングテクニックが求められる。
市民マラソン・市民ランナーを侮っていはいけない!
気持ちを引き締めた。
新宿大ガードをくぐると歌舞伎町エリアが目に入ってきた。
普段こんな道路のど真ん中を走るなんてできないことだ。
ここは学生時代大変お世話になった街だ。
歌舞伎町よ、楽しい青春時代をありがとう!
よーし今晩は歌舞伎町に繰り出すぞー!
また浮ついてきた…
今回の私の目標は4時間30分だ。
いわゆるサブ4.5
市民ランナーど真ん中、ザ市民ランナーを目指すのだ。
そのサブ4.5を目指すには1kmあたり6分10秒のラップを推移していかなければならないが、
ここまでのラップは6分40秒。
ちょっと遅めの入りだが仕方ない。
今は集団の流れに乗りながら、転倒やエネルギーロスを回避することのほうが賢明なのだ。
浮ついた気持ちから、すぐに冷静になる自分に驚く。
さすがだぜ。
神田にさしかかるあたり。
爆音でYMCAが流れているところがある。
ここでは通過するランナー全員が、
YMCAを踊らなければならないというしきたりがあるらしい。
ノリノリのYMCAを期待していたが、踊るランナーは…まばらだった。
「みんな!なんだよぉ~つまんないよぉ~この雨だからテンション上がらないのかなぁ」
かくいう私も手が上がらならい…
なんだか気恥ずかしかった。
小心者の自分に驚く。
情けないぜ。
15地点。浅草寺雷門前。
ここは絶好の撮影スポット。
みんな立ち止まって記念撮影会だ。
私も順番を待って「はいポーズ」
スカイツリーが見えてきた。東京マラソンらしい光景だ。
ランナーたちはこの光景を楽しんでいるのか、
隊列のペースがグッと落ち、歩くようなスピードになってきた。
また密集状態になる。
ここは特に沿道の数も声もすごいボリュームだった。
前半はまだまだ余裕がある。
ペースも6分10秒に安定してきたぞ~。
(レース後半編に続く)